葬祭セミナー「失敗しないお葬式」・・冠婚葬祭従事25年体験からのヒント講演!



   

 葬儀場支配人をしていた時の体験談をエッセーにしました。

   お葬式をスムーズに行うのは葬儀社の仕事ですが、そう上手く事が運ぶわけでなく、苦情ありクレーム    ありの連続といっても過言ではありません。
  そんな一つのお話しです。(名字は仮名です)

   第3話 「祝!お迎えバス」

  「大変お待たせしました。田中家のお迎えにまいりました」
  木陰で汗を拭き拭き待っていた参列者をマイクロバスへ案内する木村運転手。

  「わーバスの中は涼しいなあ、まるで極楽や」
  マイクロバスは全員を乗せ出発した。
  
  車中は意外と明るくこれから葬儀に参列する人とは思えない程、会話が弾んでいる。
  約10分で葬儀場へ到着。

  バスのドアーが開くと式場係員が「お足元にお気を付け下さい」
  式場に案内してして行く。
 
  そして、一時間で式は無事終了。

   葬儀場は国道沿いにあり、電車駅から歩くには少し遠いので、当家近くからバス送迎するのが
  サービスとなり葬儀場の売り物にもなっている。

  やがて参列者は安堵の表情でバスに乗り込んでいく。
  と、その中の一人が、バスの前にまわり、フロントガラスをけげんに覗いている。
  そこには、お迎え当家名の札が貼ってある。
  「おかしいねえ?どうも変やねえ?」
  その様子を見に数人が集まって来た。
  指を指したり、頭をひねったりし、やがてわいわいと騒ぎだした。

  「これ、やっぱりおかしいわ?」

  あわてて担当の山崎社員が駆けつけた。                    

  「えー?」

  フロントガラスには、「祝!田中家」と、堂々の札。
  
  ハンドルを握り今にも出発しようとしていた木村運転手を山崎社員は引きずり出した。
  「この札はなにや!」 
  「???」 何が何だか読み込めない木村運転手。
  「おかしいと思わないのか!」「すぐ張り替えろ!」

  やっと、事の次第の間違いに気づき、慌てて、事務所へ札を書き換えに飛んでいった。

  なんとか事をおさめて、帰りの車は走りだした。
  「どうも、おかしいなあ?と思ってたねえ」
  「100才で亡くなった人やから、札に、祝、と書くのかとねえ」

  人の解釈にはさまざまなのだなあ、と感心と安堵の木村運転手。

  「誠に申し訳ございません。」 又もや私の出番。

  ご当家の喪主は、「よかったね、私の家で」
  「100才でおじーちゃんの旅立ちは大往生やからね」
  
  なんと優しいご当家なのだろう。

  
  この日、ご当家への申し訳ない気持ちと、人の優しさと、そして安堵の交わった長ーい一日でした。





  
                
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